「斜中帯正」の私見
- 2014/10/15
- 01:04
私見というよりも、私達呉式家元の見方と言ったほうが正しいでしょう。「斜中帯正」とか、モンゴル相撲かただとか………中には「斜架」という言葉で呉式太極拳を言っている方々もいます。では、本日の写真を見ていたら、その方々はかつての楊式太極拳のことも「斜架」とでも言うのでしょうか。今日では確かにほとんどの呉式太極拳と一部の趙堡太極拳がこの道教からの独特な前傾姿勢が残っており、このように沢山の誤解に及んでしまいました。少し昔の太極拳を見るとほぼすべての太極拳が多なり小なりの前傾が確認できるでしょう。呉式だけではないですよ。
「斜中帯正」という言葉は呉式と主張されている一つの太極拳流派が申しています。しかし、私は馬岳梁先生と一緒にいるほぼ6年間の間では一度とも「斜」という言葉を伺ったことがありません。もはや、両足が前後していますので、体が前にいかないと弓歩の時に後ろの足には必ず一部の体重がかかり、これでは道教太極拳が申している「双重」という病いにかかってしまいますし、また、道教系太極拳では必ず一つの動きの中で必ず開合を行うことにおいても、体が前傾することによって「開」の度合いが広くなります。本来なら、この斜が正しく太極拳のすべてを現していて、理解できない人が申すのは仕方が無いですが、呉式と名乗るならば、「斜」のなの字も口にしないで頂きたいですね。
しかし、かつてのほとんどの太極拳が多なり小なり前傾していたにも関わらず、今日ではほとんどの太極拳は上半身が骨盤に真っ直ぐに乗っていますね。勿論、弓歩も虚歩も関わらず地面に対しては常に垂直が主流になってきました。確かに慣れていない方では体ごとに前へ傾けるには不安があり、重心も安定とは言えませんが、太極拳は本来、もの凄い安定は必要なことが今日ではほとんどの方が口にする事さえ勇気がないでしょうね。制定太極拳の中で一つの弓歩の動きがあり、重心の分配はなんと、10対0ではなく、7対3です。これは正直に申しますと明らかに伝統太極文化の中の双重説に挑戦を挑んでいますね。この7対3が近代太極拳が前傾しな姿勢への拍車をかけたと言っても過言ではありません。
元々、呉式太極拳の前傾姿勢が「正」であります。これは開合の為の前傾、双重回避の前傾、太極修練の中で本来なら当たり前である不安定の連続を創造する為の前傾になります。適当に「斜中帯正」とか、「斜架」とかを言わないでいただきたいです。このようなことを言っていると呉式太極拳に対する誤解が更に深まる一方でしょうよ。もう既に呉式太極拳では「東西南北」流派が勢揃いで、巷では誰でも呉式太極拳の旗を掲げるようになりました。教え方を見ても本当に笑ってしまう程のものがじつに多いです。せめてこのような基本的な誤解だけでもしなければ呉式のイメージがまだある程度保たれます。すべての呉式と名乗っている方、発言される前にとにかく一度調べましょう。中国語の呉式太極拳の本は呉英華先生も馬岳梁先生も家元の一脈であり、沢山の著書を出しております。日本語の本でしたら、このとるにすぎない私も来月に出版いたします。何事も根拠がなく口にすると先進国には似合いませんね。
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