神経の世界
- 2015/04/07
- 02:01
少し過去の年月で、中国旅行や中国滞在歴のある方はおそらく、朝の公園で腕の毛が生えている方で木を重く交互で叩いている風景をご覧になったことがあると思います。流石に近頃に上海の公園では見かけませんでしたが、わたくしは武術関係の知人に伺ったところ、この練功法は流石に怪我が多く、もう人気がないそうです。実は私が見た光景はこの木を叩くよりももっと凄まじいものでした。木を叩いている同士が時々、互いに腕を交互に叩き合うのです。しかも、一人が降参までですね。若い頃の馬鹿な私は少し交流できませんかと申し出たところ、向こうは流石に自信満々に快諾しましたね。確かに私は三発で降参だった記憶があります。でも、向こうはこう言っていましたね。推手なら貴方の勝ちでしょうと、そして、考えてみたのですが、向こうが叩いてきたらこちらが力で叩き返すではなく、太極勁を使ってかわしたり誘導したりすれば、闘えない相手ではないことは確かです。
本日は闘って勝つ負けの話題はさておいて、体の一部に衝撃を与え続けることでその部分の筋肉や骨は当然のように強くなってきますね。しかし、人間の体を短期間の中で強くしたいこととなると、どうしてもなにかのリスクを背負うことになってしまうのは、医学的な常識です。当研究会では今日、二名の医者の方が在籍しており、これはいつでも確認できている常識です。そして、師馬岳梁も伯父馬海龍も医者であり、この辺のことは当研究会では研究し尽くしておりますね。ご質問がおありの方でしたら、ご信頼の医者に是非とも伺ってください。はっきり申すと、人間は例えぶつかって勝つであっても、無理をして短期間もて無理に仕上げるのではなく、時間をかけて体内の内勁を上手く集める方法が一番理想できです。そして、戦闘術から考えますと理想的に内勁を一カ所に集めて部分的に強くなったにしても、闘う相手は生きていますね…
そして、とうとう、先述した交流で私が腕の打ち合いで三発で降参をさせられた方と馬岳梁先生のところで再会しました。これは半年後の出来事でした。話しを伺うと彼はとうとう、自力でご飯を食べることができなくなったそうです。お箸が持てなくなったのですね。馬岳梁先生は彼の病気を治癒できる保証がと再三に渡り説明しましたが、その彼は各病院ではどうしようもないことを繰り返し、馬先生に哀願をしました。優しい馬先生は一応、木を叩くのをやめる約束をしてくれれば、太極拳などで試してみることを彼に告げました。当時の馬先生の分析では、筋肉や筋、骨などの組織が叩かれて、故障をしてもある程度の修正が効きますが、神経という人体の色々なデータを伝達するものが衝撃によって故障をしたら、直すには時間が結構かかりますし、程度のよって完治できる確率もかなりの差があります。一番酷い神経故障であれば永遠に治ることは有り得ないでしょう。
武というものは相手に衝撃を与えて勝ちたいお気持ちはやまやまです。しかし、物理学で考えると人に衝撃を与えた瞬間に、力学の反作用で自分の体にも同等の衝撃がきます。そして、多くの武は相手に与える破壊力を増す為に色々な器具を体の一部で打ちますが、当然のように反作用を食らいますね。神経がやられることもしばし伺っています。太極拳を修練している人間として、お勧めできるのは、ご自分の体に衝撃を与えることを止めるか、もっと内勁の修練をするかになります。しかし、もしも神経がかなりやられた段階なら、元に戻るのが実はかなり時間がかかってしまいますね。そして、木を素手で叩く方なら神経を元通りに戻すことはほぼ不可能と言っても過言ではありません。
ご自分の体と相談しながら、武の修行をしましょう。人間の神経は弦楽器演奏のように敏感です。僅かな衝撃でもそれを正確に脳に伝えますが、そして、神経がデータの伝達ができなくなったら、当然のように脳が体の一部に対する命令もできなくなります。ご注意ください。
(ランキングに参加しております。クリックしてくださると幸いに存じます。宜しくお願いします。)

にほんブログ村

太極拳 ブログランキング